「さんたさん」ってどんな人?







 
「さんたさん」ってどんな人?












『私の世界ではね、もうすぐクリスマスなんだよ。毎年クリスマスには「サンタさん」っていうおじいちゃんがトナカイのそりに乗って世界中のよい子たちにプレゼントを持ってくるんだよ』

『煙突のから家に入って眠っている子供の枕元にプレゼントを置くの』





 突然言い出した美朱の聞きなれない言葉に七星士たちはそれぞれ多種多様な感想を述べた。





「「ぷれぜんと」って贈り物のことだろ?「さんた」ってやついいやつだよな〜」

 うっとりとつぶやいたのは鬼宿。すでに頭の中はそろばんを弾いているのか目が¥になっている。

「煙突ってなんや?」

「家の屋根の部分に位置する燃料を燃焼させるための通風のことで、そこから発生する煤煙を空中に排出するための筒状のことです」

 字の出ている張宿の硬い説明など理解できるわけもなく、

「…………なんやそれ???」

「簡単にいうと家に空気を送ったり出た煙を外に出すところなのだ。つまり窓のような役割をするところなのだ」

「それならそうとはよういうてくれたらえんやっ!!」

「分りにくい説明をしてすみません」

「張宿が謝ることないわよ。翼宿がおバカなだけよ!」

「なんやと!このオカマが!」

 ぎゃあぎゃあと言い合う2人を尻目に星宿にはどうしても気になることがある。

「しかし、そのプレゼントというのはどこから出てくるのだ?」

 世界中の子供たちに渡すとなると一体どれくらいになるのだろうか?

「そうだよな!1人頭5文だとしてもここにいるやつに渡すだけで40文もいるしなぁ」

 サンタに生まれなくてよかったと心から安堵する。

 星宿にしてもそうで、国家の予算を考える皇帝という立場である。世界中の子供たちに贈り物をするなどとてつもない額になるだろう。もし、などと考えると頭が痛くなる。

「ところで、どうやって「さんたさん」というのは子供たちの所へいくのだ?オイラの術を使ったとしてもとても一晩で世界中の子供たちのところへなどいけないのだ」

「それをそりを引いてトナカイが走るの?」

「そんなスピードで走って物にあたりでもしたらケガどころではすまないぞ」

 そんなことを毎年行っていたのでは体がいくつあっても足りない。

 とんでもない方向に話が走ってしまっている。

 話を言い出した美朱だが真実を教えるべきが悩む。しかし小さな子供ような内容の討論は聞いていておもしろい。

「違うよ、トナカイは走るんじゃなくて空を飛ぶんだよ」

 確かにそれならば事故になどなる確率はうんと少ない。

「そのトナカイ、羽でもはえてんのか!?」

「そういう種類のトナカイは聞いたことがありませんよ…」

「やっぱり井宿みたいな術を使うのかしら?」

「なぁ井宿、動物でも術使えるのか?」

「だ?………うーん、使えないこともないと思うのだ」

「異国では狸とか狐が化けて人を襲うという話を聞いたことがありますよ」

「だったら、術を使えるトナカイがいたとしてもおかしくねぇよな…」

「もしかしたら、トナカイのほうじゃなくて、その…さんたさんという術を使うのかもしれませんよ」

「どちらにしても、オイラにはそんな術使えないのだ」

 術を扱うものとしては一晩で世界中へプレゼントを渡すなどというというのがどれだけすごいかが分る。しかもそりに乗って空を飛び煙突から入るという条件付きなど。

「すげぇじじいとトナカイだよな……」

 誰もが思っていることを代表して鬼宿が口にする。

 そんな彼らを見ていつ真実を話そうか、それともこの国での暦でのクリスマスの日に彼らの枕元にプレゼントを置くのも楽しそうだ。

 そう思うと自然と美朱の口も孤を描く。

 でも、本当は、

「すぐに本当のサンタさんのこと教えるつもりだったんだけどなぁ…」




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クリスマス小説です。

ちょっとした話にするつもりだったので会話文ばかりになってしまいました。
なんだか美朱ちゃんの性格が違うような気がします。しかも思っていた内容と違った内容になった気も…

2006.12.16